サーモグラフィーとは? ~見えない「熱」を測る仕組み~

「非接触」で“熱”を測るってどういうこと?

コロナ禍を経て、インフルエンザが流行する季節に、駅やオフィスの入口に非接触式の温度測定装置が設置してある光景は、すっかり日常の一部になりました。
モニターの前に立ち止まるだけで体温を測定できる――。
当初は驚いたその仕組みも、今では当たり前のものとして感じている方も多いのではないでしょうか。

この装置に使われているのが、サーモグラフィー(サーモカメラ、サーマルカメラなど)の技術です。
物に触れることなく“熱”を測定し、その温度を色の違いとして可視化する。非接触式の温度測定装置は、この技術を応用したものなのです。

非接触式温度測定装置

サーモグラフィーの仕組みと表現方法

サーモグラフィーは、専用カメラに内蔵されているセンサーで物体から放射される赤外線(=熱エネルギー)を受け取り、その強さをもとに温度を計算します。
目に見えない温度データを、色で表現した画像に変換することで、どこが熱いか・冷たいかを一目で分かるようにしてくれるのです。

サーモグラフィー画像の最大の特徴は、温度の違いを色で表現する点にあります。
この色の並びを「カラーパレット(カラーパターン)」と呼び、用途に合わせて自由に変更することができることをご存知でしょうか。

よく使われるカラーパレット3選

アイアンパレット
黒 → 茶色 → 黄色 → 白の順に変化し、鉄が熱せられるイメージです。
温度が高いほど明るい色になるため、発熱箇所や温度差を直感的に把握できます。
工場や設備点検の現場でよく使われるパレットです。
レインボーパレット
青 → 緑 → 黄 → 赤と、虹のように多彩な色で温度を表現します。
全体の温度分布を分かりやすく示したい場合や、教育・プレゼン資料で視覚的なインパクトを出したい場合に適しています。
ただし、色の変化が多いため、温度の読み取りが難しい場合もあります。
グレースケールパレット
黒 → 白のモノトーンのみで温度を表現します。
派手さはありませんが、シンプルゆえに濃淡で細かな温度差を見分けやすく、色覚に左右されにくいのが特長です。
編組みセラミックヒーター

編組みセラミックスヒーター

アイアンパレット

アイアンパレット

レインボーパレット

レインボーパレット

グレースケールパレット

グレースケールパレット

その他にも、各メーカーごとにさまざまなカラーパレットが設定可能となっており、「見やすさ」や「用途」に合わせて最適なものを選択して使用します。

正確な温度測定には「放射率」が重要!

便利なサーモグラフィーですが、正確に測定するためには「放射率(ほうしゃりつ)」の設定が欠かせません。
放射率は、物体が赤外線をどれだけ放出するかを0〜1で示した値で、素材や表面の状態によって異なります。
たとえば、人の皮膚では約0.98と高く、光沢のある金属のような物体では、この値がぐっと小さくなるのが特徴です。

この値がずれていると、同じ温度の物体でもセンサーが受け取る赤外線量が変わり、表示温度に誤差が出てしまいます。
簡易測定では資料などを参考に固定値を使用することもありますが、精度が求められる場面では基準素材による補正が不可欠です。

放射率については、過去のコラムでも詳しく紹介しています。ぜひ合わせてご覧ください。

手のサーモグラフィ画像

身近になりつつあるサーモグラフィー

サーモグラフィーは、かつて専門家だけが使う特別な道具でした。
しかし最近では、スマートフォンと連携するコンパクトなガジェットも登場しており、より身近な技術になりつつあります。

住まいの断熱性能を確認する。配管や電気設備の異常な発熱をいち早く発見する。料理中の温度ムラを可視化して、焼き加減をコントロールする。
感覚に頼っていた日常のできごとが見える化されることで、新しい発見に変わっていくかもしれません。

熱という、目には映らない情報を色として語るサーモグラフィー。
その活躍の場は、これからもますます広がっていきそうです。

【TY】

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