ウォーキングビーム炉の構造

灼熱の電気炉内部、
どうやってモノを
移動するの?

  1. 連続炉内の搬送方式
  2. ウォーキングビームって?
  3. 電気炉の技術

ガラス基板、IC、ハイテン材など様々な材料の熱処理に使用される工業用電気炉。
今回は、その中でも「連続炉」と呼ばれる電気炉内の搬送方式についてのお話です。

連続炉内の搬送方式

連続炉は、長いトンネル状の炉内に電気ヒーターが配列され、その中で対象となる被加熱物(以下「ワーク」)をゆっくりと移動させる間に熱処理を行うものです。
長いトンネル内の道中、予熱~焼成~徐冷といったゾーン毎に異なる処理を行う場合もあります。

では、電気ヒーターに囲まれた高温のトンネル内で、どうやってワークを移動させるのでしょうか。

連続路の搬送方式には、並んだローラーの上を移動させる「ローラーハース方式」、金属や耐熱樹脂製ベルトで搬送する「ベルトコンベア方式」、ローラーに巻かれたフィルム状のワークをエンド側のローラーで巻き取りながら熱処理する「ロールtoロール方式」、棒状のビームを上下前後運動させてワークを搬送する「ウォーキングビーム方式」などがあります。

ローラーハース方式
ベルトコンベア方式
ロールtoロール方式
ウォーキングビーム方式

ウォーキングビームって?

「ウォーキングビーム(歩くビーム?)」って聞き慣れない言葉ですよね。
「ビームを上下前後運動させて…」と言われてもよくわからないので、早速こちらのアニメーションをご覧ください。

ご覧いただいている通り、搬送用ビームが上下前後の運動を繰り返し、固定ビーム上のワークを持ち上げたり下ろしたりしながら前へ前へと運んでいきます。
ワークを引きずることなく傷を付けずに搬送できるのが特徴で、ガラス基板などデリケートなワークに適した搬送方式です。
(ワークに傷が付きやすいのは熱処理中であり、ワーク供給側のローラーは炉外に設けられることが多い。)

電気炉の技術

工業用電気炉は、熱源である電気ヒーターだけでなく、今回ご紹介した搬送方式、断熱性能、制御方法など様々な技術が集約された高度な装置です。
多種多様なワークへの対応、要求の高まる省エネや環境性能のレベルアップなど、工業用電気炉はこれからも進化を続けます。

【SK】