炭素材料が拓く、次世代半導体の可能性

身近な炭素が先端技術の未来を変える?

バーベキューで使う、木炭。鉛筆の芯として使う、黒鉛。 宝石として知られる、ダイヤモンド。
これらは見た目や用途が大きく違いますが、 全て同じ原子、炭素(元素記号:C)からできている、
という話を聞いたことがあるのではないでしょうか。

実は近年、この炭素がスマートフォンや電気自動車、 AI技術を支える半導体の世界で注目を集めています。
半導体の材料といえば、現在はシリコンが広く使われています。
しかし、技術の進歩に伴い、熱管理・高電圧・高速動作・小型化など、 求められる性能はますます厳しくなっており、シリコンだけでは対応できない領域も見え始めています。

そこで次世代の材料として期待されているのが、 炭素からつくられる炭素材料です。

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構造の違いが生む、炭素材料の多様な性質

炭素材料の面白さは、同じ炭素からできていても、原子の並び方によって性質が大きく変わることです。
構造が変われば、硬さ、熱の伝わりやすさ、電気の流れやすさも変わります。

その代表例が、ダイヤモンド、グラフェン、カーボンナノチューブです。

 

ダイヤモンド

炭素原子が立体的に強く結びついた材料で、熱をよく逃がし、高い電圧や放射線の多い環境にも耐えやすいことが特徴です。

そのため、電気自動車、鉄道、発電設備、宇宙分野など、大きな電力を扱うパワー半導体への応用が期待されています。

2025年には、ダイヤモンドを使ったパワー半導体の試作品が登場しました。アンペア級の電流を高速に切り替えることに成功したという研究発表もあり、実用化に向けた開発が進んでいます。

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ダイヤモンドの分子構造

グラフェン

炭素原子が1枚の薄いシート状に並んだ材料で、電子が非常に移動しやすいことが特徴です。

100GHz以上の6G通信や、低消費電力デバイスへの応用が期待されています。また、熱伝導率が非常に高いため、放熱材料としても期待されています。

一方で、電気のオン・オフを切り替える性質が弱く、そのままではトランジスタ(電気の流れを制御する部品)として使いにくいという課題があります。近年は、2層に重ねたり、ほかの材料と組み合わせたりすることで、この弱点を補う研究が進められています。

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グラフェンの分子構造

カーボンナノチューブ

通称CNTと呼ばれる、グラフェンを筒状に丸めたような非常に細い炭素材料です。

軽く、強く、電気的な性質にも優れており、次世代トランジスタや超微細配線への応用が期待されています。

CNTで特に興味深いのは、原料の可能性です。紙、ダンボール、木材などの主成分であるセルロースから製造する研究も進められています。植物由来の資源を高機能な電子材料の原料にできれば、コスト削減と脱炭素の両立にもつながる可能性があります。

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カーボンナノチューブの分子構造

熱に強いダイヤモンド。電子が動きやすいグラフェン。軽くて強く、微細な電子部品に向くCNT。
炭素材料は、それぞれ異なる強みを持ちながら、 熱管理、高電圧、高速動作、小型化といった 次世代半導体の課題に応えようとしています。

技術革新を支える材料のひとつとして

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炭素材料は、私たちの身近なところにもありながら、半導体の未来を支える可能性を秘めた材料です。

熱に強い、電気を通しやすい、軽くて丈夫。
炭素が持つ多様な性質は、これからの高性能化・省エネルギー化が求められるものづくりにおいて、ますます重要になっていくでしょう。

普段は何気なく見ている存在が、次世代の半導体技術を支える鍵になるかもしれない。

そう考えると、炭素材料は研究開発の分野だけでなく、熱を扱う製造現場に携わる人にとっても、関心を寄せておきたいテーマのひとつです。

今後の技術革新の中で、炭素材料がどのような役割を果たしていくのか、引き続き注目していきたいところです。

【TY】

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