ウェアラブルデバイスと深部体温 ~体の内側の変化を知る仕組み~
身近になったウェアラブルデバイス
スマートウォッチやスマートバンドなどのウェアラブルデバイスは、今ではすっかり身近なものになりました。
時計として使うだけでなく、歩数や心拍数、睡眠の状態などを日々記録している方も多いのではないでしょうか。
以前は体温計や血圧計でその都度測定するのが一般的でしたが、ウェアラブルデバイスの普及により、
体の変化を日常の中で継続的に把握できるようになりました。
何となく疲れている。今日はよく眠れた気がする。運動中に少し無理をしているかもしれない。
そんな感覚的な変化をデータとして確認できることが、ウェアラブルデバイスの大きな特徴です。

体温を測るだけでは分からないこと
健康状態を知るうえで、体温はとても身近な指標です。
体調に異変がないかを確認するために、体温計を使った経験は誰にでもあると思います。
しかし、ひと口に体温といっても、測る場所によって意味合いが変わります。
普段使う体温計で測る皮膚の表面温度は、外気温や汗、運動、衣服の影響を受けやすく、
体の内側の状態をそのまま表しているとは限りません。
そこで注目されているのが深部体温です。
脳や内臓など体の中心部の温度を指し、人の体はどんな環境でもこの深部体温を一定に保とうとします。
そのため、表面温度と比較してより本質的な体の状態を把握することができるのです。

ウェアラブルデバイスで深部温度を推定する仕組み
もともと深部体温を正確に測るには、直腸温や鼓膜温など、からだの内部に近い場所で測定する方法が使われてきました。
しかし、これらの方法は日常的に使うには負担が大きく、常に測り続けることは簡単ではありません。
そこで近年、ウェアラブルデバイスを使って、深部温度を体に負担をかけにくい方法で推定する技術が開発されています。
現在主流となっているのは、熱流束の考え方を利用した手法です。
皮膚温度だけでなく、体から外気へ伝わる熱の移動量を専用のセンサーで計測し、
そこに心拍数や活動量などの生体データを掛け合わせ、膨大な臨床データをもとに構築されたアルゴリズムで解析することで、
からだの表面の情報から内側の温度を高精度に逆算しているのです。
手首の皮膚温度や心拍数の変化から間接的に推定する手軽なものから、胸部などに装着して熱の移動から直接的に算出する高精度なものまで、
デバイスによって測定原理はさまざまです。

健康管理や熱中症対策への活用

深部温度を継続的に把握できるようになると、さまざまな場面での活用が期待されます。
皮膚の表面温度だけでは分かりにくい、体の内側の変化を捉えることで、
体調不良の兆しに気づきやすくなる可能性があります。
高温環境で作業する人や、運動中のアスリートにとって、深部体温の上昇は重要なサインです。
体の内側に熱がこもっていないかを確認することで、休憩や水分補給のタイミングを判断しやすくなります。
深部体温は睡眠のリズムとも関係しています。
睡眠中の温度変化を知ることで、睡眠の質を見直すきっかけになるかもしれません。
これまで感覚に頼っていた暑さや疲れ。ウェアラブルデバイスと深部体温推定技術の進化により、
そうした体のサインをデータとして捉えられるようになりました。
変化を早めに知り、無理をする前に対策する。
そんな新しい健康管理のかたちが、これからさらに広がっていきそうです。
【TY】
