排熱を有効活用! 熱電素子の不思議 【続編】
復習: 「熱電素子」ってなんだっけ?
熱電素子については、以前の記事でもご紹介しましたが、簡単に言うと、熱エネルギーを電気エネルギーに、あるいは電気エネルギーを熱エネルギーに変換することができる不思議な素子です。
詳しくは、記事「排熱を有効利用!熱電素子の不思議」を読んで復習してみてください。
今回はその続編として、実際に熱電素子を使った発電実験に挑戦してみました!
やってみた!「排熱から発電」
実験装置は、キャンプでご飯を炊く時の排熱を利用するイメージです。
熱電素子の1面を飯盒側へ向けて設置し、反対の面を水冷板で冷やして温度差をつけます。
モバイルバッテリーの充電には電圧3.7Vが必要です。今回の熱電素子では温度差60℃で1枚あたり約3Vの電圧しか得られないため、2枚を直列に接続し
必要な電圧を確保します。
ご飯が炊ける時間を約1時間と想定し、時間内にどのくらい充電できるか実験しました。
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結果発表
写真はモバイルバッテリーの残量表示画面です。
加熱始めの段階、まだ充電は始まりません。 ![]() |
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開始から約8分後、充電が始まりました! ![]() |
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1時間後、96%まで充電成功! ![]() |
下のグラフは熱電素子表面温度差と発電電圧を示したものです。
コンセントから充電する場合に比べて時間はかかってしまいましたが、飯盒加熱の排熱を利用して充電できることを確認できました。
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今後の可能性
デジタル化の加速により、電気はますます生活に欠かせなくなりました。家にいても通勤中でも買い物中でも、私たちは常に電気を使っています。
一方で問題視されているのが、増大する発電事業が招く環境破壊です。
現在日本の発電量のなかで、化石燃料による発電が占める割合は70%を超えており、CO2排出の一番の要因ともなっています。
このまま化石燃料に頼った発電を続けていると、地球温暖化はますます進んでしまいます。。。
その対策として近年カーボンニュートラルの取り組みが行われているわけですが、熱電素子も新たなエネルギー源として注目されています。
世界のあらゆるところで利用できずに捨てられている排熱を電気に変えられる! 今は発電効率が悪くても、やがて発電の主役となる日が来るかもしれません。
これを機会にみなさんも注目していてください!
【NS】