排熱を有効活用! 熱電素子の不思議
熱を電気に!? 「熱電素子」とは?
熱電素子(サーモエレメント)は、熱エネルギーを電気エネルギーに、あるいは電気エネルギーを熱エネルギーに変換することができる不思議な素子です。
もう少し正確に言うと、素子の両面に温度差を与えることで、電流が発生する現象が起こります。(これをゼーベック効果と言います。)
逆に、熱電素子に電流を流すと素子の一方の面で吸熱が、もう一方の面で発熱する現象が起こります。(これをペルチェ効果と言います。)
これらの現象は、熱電素子を形成する半導体内での電子の挙動に由来します。
ゼーベック効果とペルチェ効果
<ゼーベック効果> 熱電素子の一方の面を冷却、もう一方の面を加熱して温度差を与えると、起電力が発生し電流が流れる現象です。 ![]() |
<ペルチェ効果> 熱電素子に電流を流すと、一方の面で吸熱が、もう一方の面で発熱が起こる現象です。 ![]() |
期待される熱電素子の可能性
ゼーベック効果は1821年に、ペルチェ効果は1834年に発見されました。
それぞれ発見した物理学者の名が冠されています。
ペルチェ効果を利用したコンピューターのCPU冷却や、自動販売機の保温・冷却、温熱治療の医療機器などが実用化され、最近では小型のドリンククーラーやネッククーラーなども販売されています。
一方でゼーベック効果による「熱電発電」は、発見から200年経った今でも広く普及するには至っていません。
発電効率が低く、材料の多くがレアメタル、しかも有毒であることがネックとなっているようです。
しかし近年、カーボンニュートラルに向けた新しいエネルギー源のニーズが急激に高まっており、熱電発電の分野でも、発電効率の向上や
安全・安価な材料の研究が盛んに行われているようです。
新エネルギー・産業技術総合開発機構によると、日本の一次エネルギー供給量(※)のうち、なんと約6割が排熱として廃棄されているそうです!
もったいない!!! もし熱電発電によって、この排熱の多くを電気に変えることができれば・・・
今後の研究の成果に期待したいですね!!!
(※)石油・石炭・水力・太陽光・天然ガスなどの、自然界から得られるエネルギーのこと
【NS】